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2024年2月18日

「どうにかして彼らと知り合えないものか?」というのが、朝起きて最初の考えだった。僕はお茶をする前に庭に向かったが、柵には近づきすぎないようにして、誰にも会わなかった。お茶をした後、僕はダーチャの前の通りを何度か散歩した。─そして遠くから窓を眺めていた…。カーテンの向こうに「彼女の」顔が見えたので、僕は怖くなってそそくさと立ち去った。「しかし知り合う必要がある」と思った。あてもなくネスクーチュヌイ庭園の前に広がる砂っぽい平地を歩き回っていた。「だけどどうやって?それが問題だ。」僕は昨日の出会いを細かいところまで詳しく思い出していた。なぜか特にはっきりと思い浮かんだのは、彼女が僕に向けた笑顔だった…。だが、僕が不安になって色々な計画を立てている間に、運命はすでに僕に味方していたのだ。

僕のいない間に母は新しい隣人から灰色の紙に書かれた手紙を受け取った。この手紙は茶色い封蝋で封がされていて、この封蝋というのが、郵便局のお知らせとか安いワインの栓でしか使われないようなものだ。この手紙は教養のない言葉遣いと不慣れな筆遣いで書かれていた。公爵夫人は母に資金援助を頼んでいた。僕の母は、公爵夫人の言うところによると、すばらしい人々とよくお知り合いで、夫人の命運、それから夫人の子どもたちの命運がその人たちに懸かっているらしい。とても重要な裁判を抱えているのだと。「私はあなた様におっしゃいます」と書いてあった。「高貴な淑女から高貴な淑女へ、ここに際してこの機会をご活用できることを嬉しく思います。」手紙の終わりに、母のもとを訪ねてよいかと書かれていた。母の心は穏やかではなかった。父は家にいなかったし、相談できる人もいなかった。「高貴な淑女」に返事をしないというのも、腐っても公爵夫人なので無理な話だし、かといってどう返事をしたものか─母は途方に暮れていた。フランス語で返事を書くのも不適切に思えるし、ロシア語の綴りについては母自身が強くなかった。─それを知りながら妥協はしたくなかったのだ。母は僕が来たのを喜び、すぐに公爵夫人のところに行って説明するよう命じた。母の言うところでは、閣下夫人に力の及ぶ限りお力添えする準備が常にあり、十二時過ぎに母のもとを訪ねていただくように、とのことである。予期せずすぐに僕の密かな願望が実現したので、嬉しくもあり怖くもあった。しかし僕は僕を支配する感情を表には出さなかった。─先に自分の部屋に向かって新しいネクタイとフロックコートを身に着けることにした。家ではまだジャケットと襟付きのシャツを着ていたが、大層息苦しかった。