アルファベットと発音

2023年12月31日

アルファベット一覧

ロシア語アルファベットではキリル文字が使用されます。
現在のロシア語アルファベットには全部で33個の文字が存在します。

大文字小文字文字名発音
Ааа (アー)[a]
Бббэ (ベー)[b]
Вввэ (ヴェー)[v]
Гггэ (ゲー)[ɡ]
Дддэ (デー)[d]
Еее (イェー)[je]
Ёёё (ヨー)[jo]
Жжже (ジェー)[ʐ]
Зззэ (ゼー)[z]
Иии (イー)[i]
Ййи краткое (イ・クラートカイェ)[j]
Ккка (カー)[k]
Ллэл (エル)[l]
Ммэм (エム)[m]
Ннэн (エヌ)[n]
Ооо (オー)[o]
Пппэ (ペー)[p]
Ррэр (エル)[r]
Ссэс (エス)[s]
Тттэ (テー)[t]
Ууу (ウー)[u]
Ффэф (エフ)[f]
Ххха (ハー)[x]
Ццце (ツェー)[ts]
Ччче (チェー)[tɕ]
Шшша (シャー)[ʂ]
Щщща (シアー)[ɕɕ]
Ъътвёрдый знак (トゥヴョールディ・ズナーク)[-]
Ыыы (ウィー)[ɨ]
Ььмягкий знак (ミャーフキー・ズナーク)[-]
Эээ (エー)[ɛ]
Ююю (ユー)[ju]
Яяя (ヤー)[ja]

英語と同じように、文頭や固有名詞の語頭は大文字になります。
また、ロシア語ではъ、ы、ьから始まる語はありません。

各文字の名前と発音は上の表に記載したとおりですが、発音記号がわからない方もいらっしゃると思います。
その場合は、発音記号をGoogle検索して、検索結果に表示されるWikipedia記事を参照するのがおすすめです。
大体のWikipedia記事には音声サンプルがついているので、それを真似して発音の練習をすることができます。
Google翻訳にアルファベットを入力して発音を確認することもできます。

硬音と軟音

ロシア語には硬音と軟音という概念があります。

硬母音と軟母音

ロシア語の母音は硬母音と軟母音の二つのグループに分けることができます。

硬母音軟母音
ая
оё
ую
эе
ы
и

軟母音は頭に[j]の音がつくのが特徴です。
たとえばяは[ja]、ёは[jo]となっています。
対応する硬母音の頭に[j]の音をつけると軟母音になります。

軟音記号

ьは軟音記号(мягкий знак)と呼ばれ、直前の子音を軟化させる役割をもちます。

  • с [s] (ス)→сь [sj] (シ)
  • т [t] (トゥ)→ть [tj] (チ)

補助的にカタカナで発音を示しましたが、軟化しても母音になるわけではないので、発音に注意してください。

また、軟母音の前にある子音は軟化し、軟母音の方は硬母音の発音になります。

  • тя [tja]
  • дя [dja]

ロシア語では認められていない書き方ですが、тя = тьа、дя = дьаと書けばわかりやすいでしょうか。

一つ注意点として、ж、ч、шの後にьが続く場合がありますが、これらの子音はьによって発音が変化することはありません。
この場合のьは文法的な意味を表しています。

  • чь [ч]
  • шь [ш]
  • жь [ж]

硬音記号

ъは硬音記号(твёрдый знак)と呼ばれ、直前の子音を硬化させる役割をもちます。

以下の二つの発音を比較してみます。

  • се [sje] (スィエ)
  • съе [s’je] (スイェ)

一つ目の例ではсが軟化しているのに対して、二つ目の例では軟化していません(=硬音である)。

硬音記号は子音とそれに続く軟母音を分離する記号と考えることもできます。
たとえば「ケンイチ」をローマ字で表記する場合、"Kenichi"とすると「ケンイチ」なのか「ケニチ」なのかわからないため、"Ken’ichi"として子音と母音を分離することがあります。
これと同じことが硬音記号を用いると実現できます。

  • кэнъити (ケンイチ)
  • кэнити (ケニチ)

力点

ロシア語の単語は前置詞などを除いて必ず一つの力点(ударение)をもちます。
力点は英単語のアクセントのようなものですが、ロシア語界隈ではあまりアクセントとは言いません。

力点は必ず母音にあり、力点のある母音は強く発音します。
語中に母音が一つしかない場合は、その母音に力点が来ます。

ここでは学習のため力点をа́のように表記しますが、ロシア語で文を書くときに力点を表記する必要はありません。

  • ударе́ние (力点)
  • кни́га (本)
  • журна́л (雑誌)

о、е、я

力点の有無によってо、е、яの発音が変化することがあります。

力点のないо

力点のないоは[а]と発音されます。

  • окно́ [акно́] (窓)
  • коне́ц [кане́ц] (終わり)
  • подожда́ть [падажда́ть] (待つ)

力点のないеとя

力点のないеとяは[и]と発音されることがあります。
力点より前にあるеとяが[и]と発音されることが多いです。

  • рестора́н [ристара́н] (レストラン)
  • изменя́ть [изминя́ть] (変える)
  • воскресе́нье [васкрисе́нье] (日曜日)
  • Япо́ния [Ипо́ния] (日本)
  • пятикла́ссный [питикла́сный] (5年生(の))
  • ты́сяча [ты́сича] (千)

ё

語中にёがある場合、力点は必ずёに来ます。

  • серьёзный [сирьёзный] (真面目な)
  • дешёвый [дишёвый] (安い)

有声子音と無声子音

対応する有声子音と無声子音を以下の表にまとめます。

有声子音無声子音
бп
гк
дт
жш
зс
вф
х
ц
ч
щ

厳密にはлやмも有声子音ですが、лやмが他の子音の発音を変化させることはないため、上の表には記載していません。

有声子音と無声子音が連続する場合や有声子音が語末にある場合には、子音の発音が変化します。

無声子音の後にв以外の有声子音が続く場合

この場合、無声子音は有声化します。

  • вокза́л [вагза́л] (ターミナル、中央駅)
  • сда́ть [зда́ть] (手渡す)

有声子音の後に無声子音が続く場合

この場合、有声子音は無声化します。

  • гла́дкий [гла́ткий] (なめらかな)
  • о́бщий [опщий] (共通の)
  • во́дка [во́тка] (ウォッカ)

語末に有声子音がある場合

語末にある有声子音は無声化します。

  • бег [бек] (走り)
  • Рома́нов [Рама́наф] (ロマノフ)
  • медве́дь [мидве́ть] (熊)

最後の例のように子音が軟化している場合も無声化するので注意してください。

ロシア語の挨拶

この章の締めくくりとして、ロシア語の挨拶をいくつか紹介します。

  • Здра́вствуйте. 「こんにちは」
  • Приве́т. 「やあ」
  • До свида́ния. 「さようなら」
  • Спаси́бо. 「ありがとう」
  • Извини́те. 「すみません」

Здравствуйтеの最初のвは発音しません。
また、До свида́нияのдоは前置詞で力点が置かれないため、[да]と発音します。