否定代名詞

「何も~ない」や「誰も~ない」といった表現はни- + 疑問代名詞で表します。

  • ничто́ 「何も~ない」
  • никто́ 「誰も~ない」

この表現は否定文で使われます。

  • Никто не знает правду. 「誰も真実を知りません」
  • В комнате ничего нет. 「部屋には何もありません」
  • Никуда́ не уйди. 「どこにも行かないで」

格変化を行うときには、ни-の後の代名詞の部分を変化させます。

主格ничто́никто́
生格ничего́никого́
与格ничему́никому́
対格ничто́никого́
造格ниче́мнике́м
前置格ни о чёмни о ко́м

前置詞とともに用いる場合は、ни-と代名詞の間に前置詞を置きます。

  • Я ни у кого не́ был. 「私は誰のところも訪れませんでした」
  • Он ни с кем не говорит. 「彼は誰とも話しません」

ни за чтоは「無料で」「決して~ない」という意味を表します。

  • Я получил книгу ни за что. 「私は本を無料で手に入れました」
  • Ни за что не согласен на такие условия. 「そのような条件には決して同意しません」

никогда́は「決して~ない」「一度も~ない」という意味を表します。
過去のことについて「決して~しなかった」「一度も~したことがない」という場合には、不完了体の動詞を用います。

  • Я никогда не водил машину. 「私は車を運転したことがありません」
  • Я никогда не видел Млечный Путь. 「私は天の川を見たことがありません」
  • Я никогда не забуду тебя. 「私は君のことを決して忘れないでしょう」

не́- + 疑問代名詞で「何も~できない」「~できるものが何もない」といった意味を表します。
力点は必ずнеに来ます。
この表現は主語がない文で使うのが普通で、動作主は与格で表現します。

  • Мне не́чего есть. 「私には食べもの(食べることができるもの)が何もありません」
  • Мне не́кого любить. 「私には愛する人(愛することができる人)が誰もいません」

前置詞とともに用いる場合はне-と代名詞の間に前置詞を置きます。

  • Мне не́ с кем поговорить. 「私には話せる人が誰もいません」

не́ за чтоは「どういたしまして」という意味で用いられます。

その他注意が必要な表現として、не́чтоは「何か」、не́ктоは「誰か」という意味になります。
нечтоのчは文字通りчと発音されます。
「何も~ない」や「誰も~ない」という意味にはならないので注意してください。

  • нечто странное 「何か不思議なもの」
  • Некто узнает об этом. 「誰かがこれについて知ることになるでしょう」
  • Раз, только один раз, удалось ей увидать во сне нечто как будто оригинальное, — она увидала монаха, одного, в тёмной какой-то комнате, в которую она всё пугалась войти. 「一度、たった一度だけ、彼女は夢の中でまるで根源のような何かを見ることができた─彼女が見たのは修道僧で、一人、何か暗い部屋の中で、そして彼女はいつもその部屋に入るのを恐れていた」