受動態
受動態(страда́тельный зало́г)はбыть + 受動過去分詞の短語尾形で作ります。
現在形の場合はбытьを省略し、未来形の場合はбуду, будешь…、過去形の場合はбыл, была…、と主語に合わせて人称変化させます。
受動分詞の短語尾の性・数も主語に合わせます。
- Жре́бий бро́шен. 「賽は投げられた」
- Мяч был брошен. 「ボールが投げられた」
- Цель будет уничто́жена. 「目標は破壊されるだろう」
英語の現在完了のような意味を表すときには現在形を用います。
受動過去分詞の短語尾形は通常の形容詞の短語尾形とは語尾が少し異なります。
たとえば、動詞определи́ть「定義する」の受動過去分詞とその短語尾形は、以下のようになります。
受動過去分詞 | 短語尾男性形 | 短語尾中性形 | 短語尾女性形 | 短語尾複数形 |
---|---|---|---|---|
определённый | определён | определено́ | определена́ | определены́ |
一方、определённыйは「一定の、定まった」という意味の形容詞として用いられることもあり、この場合の短語尾形は以下のようになります。
形容詞 | 短語尾男性形 | 短語尾中性形 | 短語尾女性形 | 短語尾複数形 |
---|---|---|---|---|
определённый | определёнен | определённо | определённа | определённы |
形容詞として使われる場合の短語尾形と受動過去分詞の短語尾形で語尾が少し異なっているのがわかるかと思います。
- Нау́чные те́рмины должны́ быть стро́го определены́. 「科学的な用語は厳格に定義されるべきです」
- Похоже на то, что это значение всегда определённо. 「この値は常に一定のようです」
他にも例を挙げておきます。
соверше́нный「絶対的な、完全な」とсовершённый (соверши́ть「達成する」の受動分詞)
形容詞/受動過去分詞 | 短語尾男性形 | 短語尾中性形 | 短語尾女性形 | 短語尾複数形 |
---|---|---|---|---|
соверше́нный | соверше́нен | соверше́нно | соверше́нна | соверше́нны |
совершённый | совершён | совершено́ | совершена́ | совершены́ |
受動過去分詞とみなされるか形容詞としてみなされるかで短語尾形の語尾が変わる語の例を挙げておきます。
語 | 意味 | 短語尾男性形 | 短語尾中性形 | 短語尾女性形 | 短語尾複数形 |
---|---|---|---|---|---|
уве́ренный | (何かに)自信がある [受動過去分詞] | уве́рен | уве́рено | уве́рена | уве́рены |
уве́ренный | (人物や行動に)自信がある、断固とした [形容詞] | уве́рен | уве́ренно | уве́ренна | уве́ренны |
語 | 意味 | 短語尾男性形 | 短語尾中性形 | 短語尾女性形 | 短語尾複数形 |
---|---|---|---|---|---|
принуждённый | (誰かが何かをするように)強制された [受動過去分詞] | принуждён | принуждено́ | принуждена́ | принуждены́ |
принуждённый | (表情や行動が)強いられた [形容詞] | принуждён | принуждённо | принуждённа | принуждённы |
英語のbyやwithで表現される「~によって」という意味を表す場合には、名詞の造格を用います。
- Эта картина нарисо́вана моим дру́гом. 「この絵は私の友人によって描かれました」
- Бассе́йн был напо́лнен водо́й. 「プールは水で満たされていました」
その他、例文をいくつか紹介しておきます。
- Первая часть — «Battlefield 1942» — была вы́пущена в 2002 году и уже тогда получила широкую популярность. 「最初の作品─Battlefield 1942─は2002年にリリースされて、当時すでに幅広い人気を得ていました」
- Этот изображение со́здано с по́мощью нове́йшей нейросети. 「この画像は最新のニューラルネットワークによって作られました」
ここまで受動態を紹介してきましたが、ロシア語の受動態は出現頻度が低く、英語の受動態のように頻用される表現ではありません。
特に口語では、受動態の代わりにся動詞や動詞の3人称複数形が用いられることが多いです。
- Я интересу́юсь русской историей. 「私はロシアの歴史に興味があります」
- Цель уничто́жится. 「目標は破壊されるでしょう」
- Меня зову́т Гуша. 「僕の名前はグーシャです」
- Почему считают любовь так ва́жной в жизни? 「なぜ人生において愛がそこまで重要だとみなされるのか?」
- Капита́на убили! 「大尉が殺された!」
Меня зовут A「私の名前はAです」は自己紹介などでよく使われるフレーズだと思います。
ここで登場するзовутはзвать「~と呼ぶ」の3人称複数形で、直訳するなら、「(彼らは、人々は)私をAと呼びます」という感じになります。
Капитана убили!のубилиはубить「殺す」の複数過去形で、主語を明示してわかりやすい語順で書くなら、Они убили капитана!「彼らが大尉を殺した!」となります。