仮定法
小詞бы
現実に反する内容を述べるときには仮定法を用います。
ロシア語では、小詞быと動詞の過去形を組み合わせることで仮定法を表現します。
たとえば、
Если бы я был птицей, я мог бы летать.
(If I were a bird, I could fly.)
「もしも私が鳥だったら、空を飛べるのに」
のように、"если бы 動詞の過去形, 動詞の過去形 бы"という構文で、英語の教科書に出てきそうな仮定法の文を作ることができます。
ここに出てくるе́слиはすでにご存知の方も多いと思いますが、「もし」(if)という意味の接続詞です。
ロシア語の仮定法には現在や過去の区別はないので、たとえば、「もし私がそこにいたとしたら、彼女を抱きしめたのに」(If I had been there, I would have caressed her.)という文は、
Если бы я была там, я бы ласкала её.
となり、先の例文のような現在に対する仮定と形の上では区別がつきません。
その内容が過去のことなのか現在のことなのかは、文脈から判断します。
(あるいは、ロシア語の仮定法はすべて現在に対する仮定とみなすこともできそうです)
если節を単独で用いることもできます。
- Если бы у меня было много друзей… 「もし私にたくさんの友だちがいたら…」
- Если бы только у меня было много денег! 「もし私がお金をたくさんもってさえいれば!」
еслиが必ずしも必要というわけではありません。
- Хорошо бы купить особня́к в какой-то глухома́ни. 「どこかの僻地に一軒家を買えたらいいな」
- Я бы говорил с тобой об этом. 「私は君とこれについて話すべきだった/話しておけばよかった」
仮定法を使うと語気を弱めることができ、丁寧な表現になります。
- Я бы хотел пойти в туалет. 「トイレに行きたいのですが」
- Хотел бы я поговорить с президентом. 「社長とお話がしたいのですが」
- Не могли бы вы одолжить мне немного денег? 「私に少しお金を貸していただけませんか?」
быが短縮されてбとなることもあります。
- Если б знали вы, как мне до́роги. 「私にとってあなたがどれほど大切なのか知ってもらえれば」
接続詞чтобы
чтоとбыが合体したчто́быという接続詞があります。
基本的な使い方はчтоと同じですが、чтобыはまだ実現していないことを表すのに用います。
чтобы節の内容は仮定法なので、動詞を過去形にします。
訳としては、「~するように」とか「~するために」あたりが当てはまることが多いです。
- Я сказал ему, чтобы он зашёл к нам в восемь часов. 「8時に私たちを訪ねるように私は彼に言いました」
- Попроси его, чтобы он купил хлеб в суперма́ркете. 「スーパーマーケットでパンを買うように彼に頼んで」
- Я хочу, чтобы ты сделал это. 「私はあなたにこれをやってほしいのです」
主節の主語とчтобы節の主語が同じ場合は、чтобы節の主語は省略し、動詞は不定形にします。
- Я усердно учусь русскому языку, чтобы понимать тексты ваших песен. 「あなたの歌の歌詞を理解するために私は一生懸命ロシア語を勉強しています」
чтобыのбыが短縮されてчтобとなることもあります。
- Надо говорить ясно и просто, чтоб было понятно всем. 「みんなにわかるように、はっきりと単純に話さなければなりません」
- Сомневаюсь, чтоб он остался доволен. 「彼が満足したままでいてくれるのか疑っています」