屋根はなぜ「根」なのか

2025年6月8日

屋根は上にあるのになぜ「根」という字を使うのか、ということがふと気になりました。
正確に言えば、かつてそういう疑問を抱いていて、長らく忘れ去っていましたが、最近ふと思い出したのでちょっと調べてみました。

一般的には、「根」という字を用いる理由は縄文時代の竪穴式住居に帰されます。
当時の竪穴式住居の屋根は地面と接していたため、「根」という字を用いて屋根と呼ぶようになったというものです。
屋根が家全体を支えているようなイメージでしょうか。

ここで管理人は思いました。
確かに竪穴式住居の屋根は地面と接しているものもあり、家を支えているようなイメージもわかりますが、それを見て「根」(根っこ?)と呼ぶでしょうか。

出典が行方不明なんですが、「ね」は「高いところ」を表すという説をどこかで見かけたことがあります。
この説に従うと、「やね」は「や」(家)の「ね」(高いところ)だから「やね」となります。
この場合、「根」は「根っこ」という意味ではなく、「ね」という音を表すための単なる当て字となります。
個人的にはこっちの解釈の方がすんなりと理解できる気がします。

ちなみに「屋根」という語は万葉集に登場するため、その時代にはすでに用いられていた語だと考えられます。

板盖之 黒木乃屋根者 山近之 明日取而 持将参来
(板葺の黒木の屋根は山近し明日の日取りて持ちて参ゐ来む)

万葉集 歌番号04/0779

「根」(ね)を「高いところ」という意味だとすると、同じ字を用いる「尾根」や「高根」の意味も説明できそうです。
「尾」は山裾を表すので、「尾根」は山裾の高いところを表します。
人名や地名に用いられる「高根」についても、「高」(高いところ)+「根」(高いところ)で、めちゃくちゃ高いところ(適当)みたいな意味を表すのではないでしょうか。
「たかねの花」というときの「たかね」は一般的には「高嶺」と書かれますが、「高根」と書くのも間違いではないようです。

「根」という字は使いませんが、「みね」(峰)の「ね」も同じ「ね」(高いところ)ではないでしょうか。
「み」は「みことば」とか「みほとけ」に出てくる「み」と同じで、畏敬の念を表していると考えられます。
たぶん、山の峰には神が宿ると考えられていて(適当)、その神に対する畏敬の念が込められた表現が「みね」なのではないでしょうか。

日本語,言語

Posted by 駄場さん