アインシュタイン方程式

特殊相対性理論において、質量とエネルギーが等価であることが示されたので、重力の源はエネルギー密度であると言い換えることができます。
エネルギー密度は単独ではテンソルではないので、運動量密度と合わせたエネルギー・運動量テンソル$T_{\mu\nu}$を用いて方程式を構成したいと思います。

ここで、方程式を仮に、$\kappa$を係数として、$X^{\mu\nu}=\kappa T^{\mu\nu}$と書いておくことにします。

エネルギー・運動量テンソルは$\partial_{\mu}T^{\mu\nu}=0$という関係(エネルギーおよび運動量の保存)を満たします。
テンソルをただ微分したものはテンソルにはならないので、共変微分を用いて、$\nabla_{\mu}T^{\mu\nu}=0$としておきます。

そうすると、左辺の$X^{\mu\nu}$を共変微分したものについても$\nabla_{\mu}X^{\mu\nu}=0$が成り立つ必要があります。
この条件を満たす$X^{\mu\nu}$の候補として、アインシュタインテンソル$G^{\mu\nu}$があります。
したがって、

$$
G^{\mu\nu}=\kappa T^{\mu\nu}
$$

としておけばよさそうです。
この式をアインシュタイン方程式と呼びます。

アインシュタイン方程式の左辺について、別にアインシュタインテンソルでなくてもいいのでは、と思われるかもしれません。
しかし、次に示すラブロックの定理より、アインシュタインテンソルを用いるのが妥当であることがわかります。


ラブロックの定理

2階の対称テンソル$H_{\mu\nu}$のうち、

  1. 計量の2階微分までで表される: $H_{\mu\nu}=H_{\mu\nu}(g_{\alpha\beta},\partial_{\gamma}g_{\alpha\beta},\partial_{\gamma}\partial_{\delta}g_{\alpha\beta})$
  2. 発散が0になる: $\nabla^{\alpha}H_{\alpha\beta}=0$
  3. 時空が4次元であるか、もしくは$H_{\mu\nu}$が$\partial_{\alpha}\partial_{\beta}g_{\mu\nu}$について線形である

のすべてを満たすものは、$H_{\mu\nu}=C_1G_{\mu\nu}+C_2g_{\mu\nu}$に限られる($C_1,C_2$は定数)


アインシュタイン方程式の右辺のエネルギー・運動量テンソルは2階の対称テンソルなので、左辺も2階の対称テンソルとなる必要があります。
そのようなテンソルのうち、適切なものは$H_{\mu\nu}=C_1G_{\mu\nu}+C_2g_{\mu\nu}$で表されるテンソルに限られる、という内容です。
したがって、左辺にアインシュタインテンソル$G_{\mu\nu}$を用いるのが妥当であることがわかります。

アインシュタイン方程式は以下のように表現されることもあります。

$$
G^{\mu\nu}+\lambda g^{\mu\nu}=\kappa T^{\mu\nu}
$$

ここで新しく追加された$\lambda g^{\mu\nu}$の項を宇宙項、$\lambda$を宇宙定数と呼びます。
アインシュタインは当初、定常な宇宙を想定しており、それを実現するために宇宙項が追加されました。
後に、宇宙は定常ではなく膨張していることがわかり、宇宙項は取り下げられました。
しかし、近年の宇宙論では、やはり宇宙項が必要だということになっているようです。

宇宙項については気が向いたら調査するとして、ここからしばらくは宇宙項なしのアインシュタイン方程式について考えたいと思います。