所有文と存在文

この章では「AはBを持っている」という意味を表す所有文と「AにはBがある/いる」という意味を表す存在文を紹介します。

名詞の生格

所有文では何かを所有している人を表すために生格という形を用います。

男性名詞

主格の最後に-аをつけると生格になります。
ьとйで終わる男性名詞では、語尾を-яとします。

  • журна́л→журна́ла (雑誌)
  • дом→до́ма (家)
  • Влади́мир→Влади́мира (ウラジーミル)
  • конь→коня́ (馬)
  • музе́й→музе́я (博物館)

中性名詞

оで終わる中性名詞では語尾を-а、еで終わる中性名詞では語尾を-яとします。

  • окно́→окна́ (窓)
  • мо́ре→мо́ря (海)
  • письмо́→письма́ (手紙)

女性名詞

аで終わる女性名詞では語尾を-ы、яで終わる女性名詞では語尾を-иとします。

  • маши́на→маши́ны (車)
  • газе́та→газе́ты (新聞)
  • кни́га→кни́ги (本)
  • На́стя→На́сти (ナスチャ(女性名))
  • Ма́ша→Ма́ши (マーシャ(女性名))

аで終わる女性名詞では語尾を-ыとするのが基本ですが、гыやшыといった表記はロシア語の正書法で認められていないので、それぞれги、шиとなります。

所有文─у A(生格) есть B(主格)

「AはBを持っている」という意味を表す所有文は前置詞уと動詞естьを用いて、"у A(生格) есть B(主格)"となります。
естьは人称変化を行わない動詞なので、Bが単数であっても複数であってもестьという形で用います。

  • У Владимира есть брат. 「ウラジーミルには兄/弟がいる」
  • У Маши есть сестра. 「マーシャには姉/妹がいる」

人称代名詞の生格

主格生格
яменя́
тытебя́
онего́
онаеё
мынас
вывас
ониих

前置詞の後にего、её、ихが続く場合には、頭にнが付加されます。

  • у + его = у него
  • у + её = у неё
  • у + их = у них

его、её、ихは所有代名詞としても用いられますが、この場合はнは付加されません。

  • у + его брат = у его брата
  • у + её сестра = у её сестры
  • у + их семья = у их семьи

例文

  • У меня есть брат и сестра. 「私には兄と姉がいます」
  • У него есть учебник и тетрадь. 「彼は教科書とノートを持っています」

存在文─в/на A(前置格) есть B(主格)

所有文の"у A(生格)"の部分を"в/на A(前置格)"に変えることで、「AにはBがある/いる」という存在文を作ることができます。
所有文の場合Aは人を表す名詞ですが、存在文の場合は場所を表す名詞をとります。

  • В классе есть Маша и Настя. 「教室にはマーシャとナスチャがいます」
  • На столе́ есть газета. 「机の上には新聞があります」

естьを省略する場合

すでに存在することはわかっていて、対象に関する情報を追加するような場合、естьが省略されることがあります。

  • У тебя есть сестра? — Да, у меня младшая сестра. 「君には姉妹がいますか?─はい、私には妹がいます」
  • В библиотеке есть учебник? — Да, там хороший учебник. 「図書館には教科書がありますか?─はい、そこにはよい教科書があります」

二番目の例ではтам「そこに」がв библиотеке「図書館に」を表しています。