特殊相対性原理

特殊相対性理論の前提として、特殊相対性原理というものがあります。
これは、あらゆる慣性系において物理法則は変化しない、という原理です。
慣性系というのは、(観測者に対して)静止しているか等速直線運動している系のことです。
加速度運動をしているような系は慣性系には含みません。

特に、光の伝搬速度はどの慣性系から見ても一定の値$c$をとります。
これを光速度不変の原理と呼びます。

相対性理論以前には、この世界はエーテルで満たされており、エーテルが媒質となって光や電磁波が伝搬されると考えられていました。
地球の運動がエーテルに与える影響を検出するため、1887年にマイケルソン=モーリーの実験が行われました。
この実験は、光の干渉で生じる干渉縞を利用したものです。
エーテルの風に対して垂直に進む光線に比べて、平行に進む光線は、往復するのにわずかに長い時間を要します。(川を横切って進むのと川の流れに沿って進むのを考えればわかりやすいかと思います)
光線が費やした時間がわずかでも変化すると、干渉縞の位置が動くはずです。
しかしながら、この実験では干渉縞の変化は検出されなかったため、エーテル仮説に重大な疑問が呈されました。
アインシュタインはこれらの実験結果をもとに、エーテルの存在を否定して、光速度不変の原理を立てました。