静止質量エネルギー

固有時間を使って測った速度$u^{\mu} \equiv \frac{dx^{\mu}}{d\tau}$を4元速度と呼びます。

$$
u^{\mu} \equiv \frac{dx^{\mu}}{d\tau}=(\frac{dct(\tau)}{d\tau},\frac{dx(\tau)}{d\tau},\frac{dy(\tau)}{d\tau},\frac{dz(\tau)}{d\tau})
$$

4元速度に粒子の静止質量$m$をかけた量

$$
p^{\mu} \equiv mu^{\mu}=(mc\frac{dt(\tau)}{d\tau},m\frac{dx^i(\tau)}{d\tau})
$$

4元運動量と呼びます。

先の記事で示した$d\tau=\frac{dt}{\gamma}$という関係式より、$\frac{dt}{d\tau}=\gamma$となります。
したがって、4元速度の時間成分は$u^t=c\frac{dt}{d\tau}=\gamma c$、空間成分は$u^i=\frac{dx^i}{d\tau}=\frac{dt}{d\tau}\frac{dx^i}{dt}=\gamma v^i$となります。
また、4元運動量の時間成分は$p^t=mc\frac{dt}{d\tau}=\gamma mc$、空間成分は$p^i=m\frac{dx^i}{d\tau}=mu^i=\gamma mv^i$となります。

4元運動量の空間成分は、$v \ll c$の場合にはニュートン力学における運動量$mv^i$に一致します。
ここでは、4元運動量の時間成分$p^t$について詳しく見ていくことにします。

$p^t$を$v$についてマクローリン展開してみます。

$$
p^t=\frac{mc}{\sqrt{1-(\frac{v}{c})^2}}=mc+\frac{m}{2c}v^2+\cdots=\frac{1}{c}(mc^2+\frac{1}{2}mv^2+\cdots)
$$

展開後に現れる$\frac{1}{2}mv^2$はニュートン力学における運動エネルギーの式に一致することから、$cp^t$は何らかのエネルギーを表しているものと考えられます。
そうすると、$mc^2$についても何らかのエネルギーを表すものだと考えられます。
このエネルギー$E=mc^2$は粒子が静止している場合にも残る定数項で、これを静止質量エネルギーと呼びます。
この段階では$mc^2$がエネルギーを表しているというのは単なる仮説ですが、この仮説が正しいことは質量欠損や核反応・対消滅に伴うエネルギー放出・吸収から確かめられています。
したがって、質量$m$をもつこととエネルギー$mc^2$をもつことは等価であると言えます。

ここで、光速で移動する有限のエネルギーをもった粒子を考えます。
このとき、$cp^t=\gamma mc^2$の$\gamma$が無限大に発散してしまうので、$m=0$でなければなりません。($\infty \times 0$の不定形)
この逆も成立するため、質量をもたずに有限のエネルギーをもつ粒子は、光速で運動している必要があります。
我々人間が光速で移動するためには、まずこの肉体を捨て去る必要があるのかもしれませんね。(適当)